2021年5月24日

非医療職のための妥当な医療情報源

医療情報を検索すると、上の方に出てくるのは、サプリや検査、本やセミナー、機械やお守りなど、何かしらの広告であることが多いです。個人で広告無しですごく良いページを作っている人もいますが、いわゆるトンデモ情報も多く、そのページがまともかどうかを判断するにはそれなりの医療の知識や常識が必要。 正直なところ、医療職でない人には難しいと思います。


医療職ではない人向けに、使いやすく妥当な医療情報源がないかと探していたところ、見つけました。

NHS

https://www.nhs.uk/


イギリスの国民健康保険みたいなもののサイトで、現代の西洋医学で妥当とされていることが簡潔にまとまっています。NHSにある情報をみるだけで、わりと医者に行かなくてよくなると思います。医療費も手間も省けます。

また、あえて余計なことは書いていないのを感じます。この加減が絶妙。


「何をすべきか、何をすべきでないか、いつ医者に行くべきか、どんなことが自分で家でできるか」といった、困ったときにすぐ必要な情報を中心に書いてあります。病気の症状や原因の説明、どんな検査や治療が行われるかについても、わかりやすい言葉で解説されています。情報の更新日時と次回の更新期限も書いてあり、どの項目も3年に一度程度はアップデートされているようです。

医者に行って、治療する、入院する、となった場合も、その流れや選択肢がわかります。医師の診療内容がNHSサイトの記載と大幅に違う場合は、ここ数年以内の西洋医学の大きな流れに沿っていない可能性があります。セカンドオピニオンを求めるきっかけになるかもしれません。



ただ、当然、英語です。

なぜわざわざイギリスの英語サイトを出してきたかというと、日本語では、非医療職の人が困ったときに参照するのに良い、公的機関が監修したサイトが見つからなかったからです。

探している情報が幸運にも厚生労働省ホームページにあればよいのですが、何かしら症状があったり心配だったりして困ったときに多くの人が調べると思われるような情報は載ってないんですよ。制度や難病、感染症などの情報が中心です。

小児科では、小児科学会による「こどもの救急」という良いサイトがあるんですが、残念ながら対象年齢が生後1ヶ月から6歳まで。

こどもの救急

http://kodomo-qq.jp/



NHSは、非医療職の人が困ったときに、まず参照するための情報源として非常に良くできているので、日本語で使う方法を考えてみました。


・NHSを日本語で使う方法

1. 症状や病名など、調べたい内容をGoogle翻訳を使って英単語にする

Google翻訳

https://translate.google.co.jp/?hl=ja


2. The NHS Websiteにアクセス

NHS

https://www.nhs.uk/


3. 右上の検索ボックスに、さっき調べた英単語をコピー&ペーストし、Enterを押す


4. 該当する項目をクリック(注1)


5. ページごとGoogle翻訳する(注2)


(注1)

4.で該当する項目が出てこない場合は、検索ワードを別の日本語にして、1.からやり直してみましょう。

・別の日本語にする方法

調べたい項目を日本語のまま検索する。

何かしら別の表現がされているのを探して、それを使ってみる。


(注2)

Google翻訳された文の意味がよくわからない場合は、DeepLも使ってみてください。両方使えば大体なにを言いたいのかはわかることが多いと思います。

DeepL

https://www.deepl.com/ja/translator



「こどもの救急」にある主な項目だけ、NHSサイトに対応した用語を載せておきます。

    発熱 fever

    吐き気 nausea

    せき cough

    ぜえぜえする shortness of breath

    腹痛 stomach ache

    便秘 constipation

    皮膚のぶつぶつ rash, hives, dermatitis, eczema

    下痢 diarrhea

    頭痛 headaches

    動物に咬まれた animal and human bites

    虫に刺された insect bites and stings

    やけど burns and scalds


また、よく出てくるイギリスの医療制度特有の用語は、以下のとおりです。

    GP かかりつけ医

    999 日本の119(救急車を呼ぶ)

    111 電話の医療相談サービス 日本の#7119の守備範囲を拡げたようなもののようです

    A&E 救急外来



もうひとつ使えそうなのは、メルクマニュアル。こちらは日本語化されています。スマホアプリもあり。

メルクマニュアル

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0


ただ、記載が多すぎる。全部読むのはけっこう大変ですし、必要な情報にすぐにたどり着くのは難しいと思います。どうしても英語を翻訳するのが嫌な人や、NHSの項目が見つからない時、追加の情報がほしい場合にはいいかも。



もちろん西洋医学が全てではないですが、西洋医学に関しては他のサイトを探すよりも、まずNHSの記載を読む方が役に立つと思います。


NHSのサイトには、睡眠や体重管理、禁煙、避妊や性感染症、妊娠や周産期といった生活と関わりの深いトピックについてもまとまった妥当な情報が載っています。なんと歯科までカバー。ぜひ使ってみてください。