2019年1月30日

あふれる音

1月も終わりですね。年末年始は海外で過ごされた方も多いと思います。なにか帰国後に感じたことはありましたか?

日本語が通じる。食事が安くて美味しい。治安がいい。いろいろあると思いますが、いいところだけではないはず。

私が感じるもののひとつは、あふれる音、です。どこから帰ってきても、日本ほど音が垂れ流されているところはないと感じます。


考え事や読書、調べ物をしていたり、なにかを感じていたりするときに、突然、脈絡なく垂れ流される音。ヒトは音がすると注意を向けずにいることは不可能で、それまでの時の流れが遮られてしまいます。


本当にさまざまな日本独自の音があります。エスカレーター、商店街、寺社などでの自動音声やBGM。スマホの強制シャッター音や選挙カー、マンボーマンボー、バーニラ バニラのような動く広告など驚くほどの種類があります。

中でも今回は、遭遇確率が高く、個人でもある程度は対処可能な、公共交通機関のアナウンスについて。



諸外国では公共交通機関のアナウンスは、無いか、あっても駅名や乗り換え案内のみの場合が多いです。
しかし日本では、大量のルーチンフレーズを大音量で、乗る前から降りた後までずっと聞かされます。


「本日も◯◯をご利用いただきありがとうございます」

「お年寄りや、お体の不自由なお客様、妊娠している方や、お子様連れのお客様がいらっしゃいましたら、席をお譲りください。お客様のご協力をお願いします。」

「◯両目は女性専用車両です。皆様のご理解とご協力を・・・」

「優先席付近では、携帯電話の電源をお切りください(いまだに!)。それ以外の場所では、マナーモードに設定のうえ、ご通話はお控えください。ご協力をお願いいたします。」

「事故防止のため、やむを得ず急停車する場合がございますので、お立ちのお客様は、つり革や手すりにおつかまりください。」

「迷惑行為を見かけたり、体調のすぐれない方がおられる場合はボタンを押してください」

「飲み終えた空き缶や空きびんは駅備え付けのくずものいれに捨てていただきますよう車内美化にご協力ください」

「不審物を発見した場合は、すみやかに乗務員にお知らせください」

「危険物の持ち込みは禁止されています」

「リュックは背負わず前に抱えてご乗車ください」

「イヤホン、ヘッドホンからの音漏れにご注意ください(イヤホンしてない人間だけに聞こえる)」

「前の方から順序よく列車の中程までお詰めください。整列乗車にご協力お願いいたします」

「歩きながらのスマートホン、携帯電話、ゲーム機などの操作は大変危険ですのでおやめください」

「バスが完全に止まるまで席でお待ちください」

「あらかじめ両替をお済ませください」



どれも日本以外の列車やバスで聞くことはまずないフレーズです(飛行機では若干ありますが)。思い出せるだけでもこれだけ。実際はもっと種類があると思います。

公共交通機関を利用しているだけなのに、こういったアナウンスを一定時間ごとに強制的に聞かされる。さらに地域の店の広告やカニカニ列車、百貨店、ひらパー、パルケエスパーニャの催しなど沿線の広告、人権系の標語などが加わる場合も。最近では、それぞれを4カ国語で駅ごとに聞かされることも多いです。そうなると、駅の間でアナウンスが流れていない時間の方が短かったりします。

最悪なのは「駆け込み乗車はおやめください!!」とマイクで怒鳴る車掌。車掌はいくらか溜飲がさがるかもしれませんが、ギリギリ乗れそうな人はやはり次回も飛び乗ります。関係ない全ての乗客が大声で怒鳴られて朝から嫌な思いをするだけです。

最近は老人が増えたからなのか、音量がとにかく大きいのも辛い。乗務員ごとに設定が違うようですが、南海や京都の地下鉄東西線などは多くの場合、後述するノイズを最大の音量にしてやっと聞こえなくなるレベルです。


明日から全部やめても何の不都合もないと思われるこれらの騒音に邪魔されず、心穏やかに過ごすためにはどうすればいいか?





答えは、ノイズ+ノイズキャンセルです。




イヤホンやヘッドホンから「ザー」とか「サー」とか「シャー」といったノイズを流します。昔のテレビの砂嵐みたいな音です。毒をもって毒を制す。

ノイズにも種類がいろいろあり、色の名前が付いています。ホワイト、ブラウン、ピンク、ブルーなどがあるようです。

耳に優しいのはブラウンノイズかなと思います。ドォーーーという、水量のある滝や濁流のような低い音。

有名なホワイトノイズは結構きつい。長時間つけていられない。シャーーーーという、米を袋から流し出し続けるような高い音。

ノイズはスマホアプリで鳴らせます。ただ、ちょっと注意が必要で、イヤホンやヘッドホンとスマホとの接続を解除した時に(有線ならプラグを抜いた時に)スマホのスピーカーからノイズが出続けてしまうアプリが非常に多いです。そうなると、車内に大音量でノイズを流してしまいます。

そんななかで、接続解除とともに音が止まるアプリをご紹介。


iOS
Sleep sounds


Android
White noise baby



また、完全ワイヤレスのイヤホンやヘッドホンなら、動きが制限されないだけでなく、コードが服やカバンなどに擦れる音が気にならないのでおススメです。


ヘッドホンなら
SONY WH-1000XM3


イヤホンなら
NUARL NT01



ノイズキャンセルというのは、外から来る音と逆位相の音を出すことで、外からの音を消してしまうという技術です。完全に無音にはなりませんが、低い音はほぼ聞こえなくなります。ただ、高い音や人の声は残ってしまって、余計に気になる場合もあります。防犯上、安全上の配慮もあるのかもしれませんが、過度に期待すると失望します。

ノイズキャンセルだけではアナウンスを消すことはできないのですが、ノイズと組み合わせることで、再生するノイズ自体の音量を抑えることができ、耳への負担を軽減できます。

周波数スペクトルの定義だけみると、ノイズキャンセルで消せない音にはホワイトかブルーが良さそうですが、実際に使ってみるとブラウンが一番。好みもあるかもしれないので、それぞれ試してみてください。


注意点としては、これらの方法を公共交通機関以外で使うと、周りの音が聞こえず非常に危険です。あまり動かないし、周りから何かが来ることもない交通機関の中だからこそ安心して使えるものです。適応をこえた使用にご注意を。



静けさや集中できる環境を買えるなら買いたいという人は、是非とも使ってみてください。